慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)とは腎臓の機能が慢性的に低下していく腎臓病の総称です。患者さんは1330万人(20歳以上の成人の8人に1人)いると考えられ、新たな国民病ともいわれています。放置していると、将来腎不全になり、透析療法が必要になる可能性があります。
原因はいろいろありますが、大きく分けると、慢性糸球体腎炎という腎臓の疾患と、生活習慣病や膠原病などが関連した二次的なものがあります。特に生活習慣病が原因で透析に至る患者さんが年々増えており、糖尿病性腎症が原因の方は全体の40%以上を占めていて、高血圧による腎硬化症の方は15%程度となっています。症状はかなり進行するまで、ほとんどありません。進行すると、むくみや貧血、倦怠感、息切れなどの症状が現れてきます。
検査については、自覚症状が乏しいので、定期的に尿検査、血液検査を行い、病状を把握する必要があります。腎臓病の原因を確定して有効な治療を選択するために、腎生検(腎臓の組織を取って顕微鏡で調べる検査)を行うこともあります。
尿たんぱくが多い方は腎機能が低下する可能性が高く、要注意です。
血液検査を行えば、クレアチニンの値から現在の腎機能がわかります。
治療としては、現在の腎機能を少しでも低下させないように、その原因を取り除くことになります。
慢性腎臓病の発症・悪化因子としては、たんぱく尿、高血圧、高血糖、脂質異常、喫煙、貧血などがあります。血糖値や血圧の管理は特に重要で、食事療法(塩分制限、たんぱく制限など)と組み合わせて、集学的治療を行います。腎臓の機能が10%以下に低下してきますと、透析治療を考えなければなりません。